矯正治療に関するトピックスです

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これで解決!矯正の疑問

1.歯を抜かないと
矯正治療はできないの?

 全ての患者さんが、歯を抜かないで矯正ができればいいのですが、実際には抜かないときちんと治らない例もあります。また子供に比べて大人の患者さんは顎の成長が終わっているので抜歯が必要なケースが多くなります。
「歯を抜いて治療」、「歯を抜かなくて治療」を判断するためには色々な検査をして決定します。
 この判断材料の一つとして、歯と顎の大きさのアンバランスが挙げられます。
現代人は歯が収まる顎の骨が小さく、逆に歯のサイズは大きくなっていると言われています。このアンバランスが大きいと、中間の歯を間引きして(抜歯をして)治療することがあります。

 しかし同じような症状でも、歯を抜かないと治療できない例と、抜かなくても治療できる例があります。その判断基準の一つとして、以下のイラストや治療例を参考にしてください。

歯を抜かなくても矯正できる場合とは?

成長期の子供の場合、歯が収まる顎の骨が
広がれば、歯を間引きしなくても
治療できる場合があります。
しかしすべての患者さんが自由自在に顎が広がる わけではなく、個人差があります。
子供でも十分に顎を広げられない場合は、
歯を抜いて(間引きして)
治療することがあります。

歯を抜かないと
矯正できない場合とは?

大人の場合は、歯が収まる顎の骨の成長は終了していますから、
歯を抜いて治療することが多くなります。

同じような症状でも、歯を抜かないと治療できない例と、抜かなくても治療できる例。 症例を通じて見ていきましょう。

2.矯正治療による歯の痛み?
痛みに優しい治療とは?

歯の矯正はすごく痛そうなイメージがあると思います。また子供の頃矯正治療を経験された親御さんから、「私の場合はすごく痛かったです、あの痛みを自分の子供が耐えられるのか心配です」と言われることがあります。

安心してください。治療器具も治療技術も日進月歩で、痛みが最小限になるよう配慮した器具や
治療法を採用しています。
矯正治療による痛みは治療期間中、ずっと続くわけではありません。通院間隔は月に一度ですが、治療を受けた日から約3日間位は歯が浮いたような痛みを感じることがあります。
その後4~5日で痛みは治まってしまいます。痛みに優しい治療とは、この最初の3日間の痛みをさらに和らげる、あるいはほとんど痛みを感じないようにするということです。実際の治療例を通じて説明します。


上下の前歯がデコボコしている
9歳の女児

主訴 上下の前歯がでこぼこしている
症状 上下顎前歯部の叢生(デコボコ)
治療内容 上と下の前歯の部分的な矯正治療を行った(全体の永久歯に器具を付ける本格的な矯正治療ではありません)。前歯のデコボコとかみ合わせを正しくしていきました。
前歯の治療終了後は定期検診(半年に一度の来院)を行い、中間から奥歯の生えかわりをチェックします。奥歯の生えかわりに問題がなければ治療は終了となります。
年齢 9歳の女児
装置 上下の前歯と6歳臼歯の表側に矯正器具を装着
抜歯部位 抜歯した歯はない
動的治療期間 1年7ヶ月
治療費 35万円 + 毎回の処置料(税別)
リスク・副作用 全部の歯に装置を付けていないので、食事などの際ワイヤーが曲がることがある。きちんと歯を磨く習慣をつけないと、虫歯や歯肉炎を起こしやすい。

3.全体の歯を矯正する場合、
歯の表側、裏側、マウスピース?
どの装置が いいのでしょう?

矯正器具はどれを使っても同じ治療効果が得られる訳ではありません。つまり使う器具により治療の結果が大きく変わってしまいます。
また学問的に言うと歯は持続的(連続的)で適正な力を加える事で正しく動きます。
最近目立ちにくさや手軽さを売りにしたマウスピース型矯正装置が多く宣伝されています。これは軽度な症状にはいいのですが、構造的に全ての不正咬合(症状)の方をきちんと治せる装置ではありません。また自分で取りはずしができますから、はめたりはめなかったりでは、歯を動かすのに大切な持続的な力が働かない、つまりきちんと治らないことになります。

「全体の歯の矯正」に使われている矯正器具の種類とその特徴を点数で評価してあります。ご参考にしてください。

▼表は左右にスクロールしてご確認ください。
  表側 金属
ワイヤー
表側 セラミック
ワイヤー
表側 セラミック
ホワイトワイヤー
ハーフリンガル
(上は裏側、下は表側)
マウスピース
  (5段階評価) (5段階評価) (5段階評価) (5段階評価) (5段階評価)
 
治療の精度(効果) 【5】優れている 【5】優れている 【5】優れている 【4】ほぼ優れている 【3】やや劣る
経済性(治療費) 【5】やや安価 【5】普通 【4】やや高額 【3.5】高額 【3.5】高額
治療に要する期間 【5】普通 【5】普通 【5】普通 【4】長い 【3】長い
来院頻度 【5】月に1度 【5】月に1度 【5】月に1度 【5】月に1度 【2.5】月に2度
目立ちにくさ 【2】目立つ 【4】目立ちにくい 【4.5】目立ちにくい 【5】目立ちにくい 【5】目立ちにくい
治せる症状(症例) 【5】難しい症例も可能 【5】難しい症例も可能 【5】難しい症例も可能 【4】難しい症例はやや困難 【2】軽症のみ
歯の痛み 【5】軽い 【5】軽い 【5】軽い 【4】やや重い 【3.5】やや重い
口内炎などの痛み 【5】時々できる 【5】時々できる 【5】時々できる 【5】舌にできやすい 【5】できにくい
歯みがきのしやすさ 【4】普通 【4】普通 【4】普通 【3】歯の裏側のため難しい 【5】みがき易い
総合評価(ポイント) 40 41.5 41.5 35.5 31.5

同じ症状で、それぞれの矯正器具を使ったと仮定した場合の点数評価です

イラストで見る歯の表側矯正と
裏側矯正の違い

矯正治療で歯を動かす場合、歯についているブラケットとブラケットの距離が長いほど、歯を上手くコントロールでき痛みも少なくなります。
下の図でブラケット間距離の関係は、
a>d  b>e  c>fとなるので、
歯の表側にブラケットを付けた方が裏側よりも治療が有利になります。

4.マウスピース矯正は
軽度な不正咬合に

主な利点

  • 透明なので目立ちにくい。
  • 手軽に使えて簡単に取りはずしができる。
  • 歯に固定する装置に比べ、食事や歯みがきの時にはずせるので楽。

主な欠点

  • 装置の性能としてはまだ発展途上で、どんな症状の方でもきれいに治るわけではありません。
    口腔内スキャナーを使いデジタル化してマウスピースを作製するのですが、マウスピースの構造的な問題や作製ソフトが不完全なため予想した歯の動きにならないことがあります。
  • 上記の利点にある「手軽に使えて簡単に取りはずしができる」が大きな欠点になることがあります。
    マウスピース型矯正装置は1日20時間以上の使用が推奨されています。
    もし全体的な矯正治療をする場合、治療期間は2年位かかります。この間1日20時間以上の使用を続けなければなりません。自分で取りはずしができる装置は、治療を始めて最初の1~2か月はよく使うのですが、その後は、はめたり、はめなかったりになることが多いです。
    使う時間が短いと歯はきちんと動きません。また矯正治療のため抜歯が必要な患者さんで使用時間が短いと、最初よりも悪くなったり、咬みにくくなってしまう危険もあります。

従来の歯の表面に固定した矯正装置は、同じように見えても日進月歩で、今は目立ちにくく(審美的)、歯に持続して安定した力が働くため安全で確実な治療法であると考えます。

軽度な症状で短期間の装着を頑張れる患者さんはマウスピース型矯正装置でも治療は可能です。以下の治療例をご覧ください。

マウスピース型矯正装置についての注意は、日本で最大の学会、公益社団法人 日本矯正歯科学会から見解がでていますので参考にしてください。

▼[参考]『マウスピース型矯正装置による治療に関する見解』
https://www.jos.gr.jp/4348

軽度な不正咬合 マウスピース矯正

主訴 上の前歯に隙間がある
症状 上顎の正中離開
治療内容 上顎の左右中切歯間の隙間を閉じるためマウスピース型矯正装置を装着。一日20時間以上4か月間つけていただいた。正中離開が改善したため保定装置を作製し保定観察を行った。
年齢 15歳 男
装置 マウスピース型矯正装置
抜歯部位 なし
動的治療期間 4ヶ月
治療費 30万円 + 毎回の処置料(税別)
リスク・副作用 マウスピース型矯正装置は一日に決められた時間、続けてつける必要があります。
つけたり外したりでは歯は全く動きません。
外している時間が多いとマウスピースをはめた際、歯の痛みが強くなります。マウスピースも浮き上がってしまいます。

軽度な不正咬合 マウスピース矯正

主訴 下の前歯がはみ出している
症状 下顎前歯部の軽度の叢生、右下中切歯の唇側転位
治療内容 右下中切歯とその両隣の歯が接している部分を少しだけ削り、マウスピース型矯正装置を装着。一日20時間以上2か月間つけていただいた。その後さらに微調整を加えた新しいマウスピース型矯正装置を3か月装着し動的治療を終了した。このマウスピースを保定装置として引き続き使用して保定観察を行った。
年齢 16歳 男
装置 マウスピース型矯正装置
抜歯部位 なし
動的治療期間 5ヶ月
治療費 35万円 + 毎回の処置料(税別)
リスク・副作用 マウスピース型矯正装置は一日に決められた時間、続けてつける必要があります。つけたり外したりでは全く歯が動きません。
外している時間が多いと歯がずれるため、さらに歯を削って新しいマウスピースの作製が必要となります。

5.お子様用のマウスピース型矯正装置
(小学生用)

デコボコした前歯(叢生)、上顎前突(出っ歯)、反対咬合などの症状のお子様の初期治療に使う器具です。全体の矯正治療に入る前にデコボコした前歯をある程度治したり、咬み合わせを治したりします。歯が収まる土台の骨を広げたり、顎の発育を促したりする装置です。小学生用に考案された装置ですので無理なく使えます。しかし自分で取り外しが出来ますから、付けたり付けなかったりでは効果がありません。根気よく使うことが大切です。

6.歯科矯正用アンカースクリュー


緑色の矢印部が矯正治療用のインプラントです。いろいろな位置に小型のネジをはめて使います。種類も豊富にあります。このインプラントを利用して一度に多くの歯を動かすことができるようになりました。21世紀の画期的な技術です。
ネジをはめるときは少しだけ麻酔をするだけで、痛みはありません。また矯正治療が終わったら簡単にはずすことができ、元通りになります。

過蓋咬合・治療例

7.保険がきく矯正治療

通常の矯正治療のみで治る方は健康保険の適用にはなりませんが、矯正治療に加え外科手術も併用しないと治らない症状の方は保険適用の対象になることがあります。一番身近な例は「顎変形症」です。「矯正の治療例」のページの「11.顎変形症(外科矯正)」をご覧ください。
なおこの治療は顎口腔機能診断施設のみで受けられます。当院はその施設になっています。

外科矯正・治療例


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